【とよはし忍術伝説】真相

「なんということじゃ...
未来の誰かが、この時代の謎をときあかした」
すべての終わりと始まり
殿様には、未来の見習い忍者と共に真相を解き明かしていく様子が、
まるで自分の目の前で起きているように、はっきりと伝わってきた。

これは…めったにない、いや、人生で一度あるかないかの感動である。
殿様は、ゆっくりと歩み出ると木の忍者――「こはく」に向かって言った。

「裏切り者は……おぬしじゃ、こはく。」
こはくの顔がこわばる。
そして深々と頭を下げ、こう口にした。

「はっ! よくお気づきでございます。
刺客に殿を襲わせ、秘伝の忍術を奪う手筈でございました……
ただ、殿に怪我をさせぬようには命じておりました。
まさか、城を燃やすとは……思いのほか手荒で、心より反省しております」
その言葉に、場がざわつく。
「……城を燃やしたのは、おぬしの命ではなかったのか?」
こはくは顔を上げた。
「そのような指示はしておりませぬ。
刺客は私の育てた者。火術は未習得のはずです」
その時、沈黙を破ったのは――火の忍者「くもん」であった。

「あー、それ私の火炎弾か」
皆「は?」
殿様「………………わしの寝室で……火炎弾……撃ったのか?」
「はい!思いの外、豪快に燃えましたね!!」
お待ちください殿様!
「お待ちください、殿様!城は燃えておりませぬ」
その声とともに、ひときわ美しい花の香りが漂った。

姿を現したのは、姫。
「燃えておらぬ……だと……?」
殿様は一瞬、目を見開く。
「はい。あれは――沈む夕日が、城の壁に反射しただけのもの。
赤く燃え上がったように見えましたが、火の気配は一切ありません」
姫が涼しい顔で続けた。
「さすがに城が燃えておれば、城下町の民も踊ってなどおりませぬよ」
祭りではしゃぐ子どもたちと、焼きそばを並ぶ行列。

その奥には――ぴんと健在な城が、夕陽に染まり、静かにそびえていた。

「………………あ、ホントだ。燃えてない」
そんなバカな。
確かに燃えていたではないか。
そう言いかけて、やめた。
輪廻封陣は、このような形で、そっと過去が変わるのだ。
殿様はそっと草履を脱ぎ、寝転んだ。
「火炎弾は刺客が慌てて消火したのだろう」
火の忍者は、刺客さすが!と褒め称えた。
輪廻封陣によって未来と過去と現実が交錯した――
そんな“一瞬の幻影”だったのかもしれない
未来へ
城の畳の間で、
殿様はしずかに筆をとり、手紙を綴った。
この手紙は、果たして未来の見習い忍者に届くのだろうか?
いや、きっと届くと信じて。
拝啓 未来を生きる見習い忍者へ
この度は、感謝してもしきれぬ。
おぬしのおかげで、国は救われた。
国は襲われ、城は燃え、
わしはすべてを失った……と思うた。
けれど、見習いのおぬしが、試練を越えてくれたことで、
わしは今まで通り寝床を確保し未来の希望に触れることができた。
忍術とは何か?
それは、心を繋ぐ術じゃ。
どんな技術よりも
「想いを遺すこと」が、ほんとうの力なのじゃ。
いつしかの未来の先に、おぬしのような者がいてくれて、
わしは、ほんに嬉しい。
忍びの道は続いておる。
この国も、民の笑顔も、まだどこかに息づいておることじゃろう。
それでよい。
それだけで、わしはもう満足じゃ。
では、そなたの旅路に幸多からんことを。
――殿より


このたびは「とよはし忍術伝説」にご参加いただき、
まことにありがとうございました!
見習い忍者として挑んだあなたの旅路が、
少しでも心に残るものとなっていれば幸いです。
これからも、誰かの心に火を灯すような、
リアルでちょっと不思議な“物語体験”をお届けしてまいります。
またいつか、あなたと物語の中で再会できる日を──
心より、楽しみにしております。
どうぞこれからも、よろしくお願いいたします。
🍃 忍術伝説制作一同 より
