遅すぎた春
それまで男性との交際経験はおろか、男友達すらできたことのなかったE美。
「希望の男性」を聞かれても全くピンと来ず、友人たちの結婚生活の愚痴を思い返した。
うつ病になっても生活のために仕事を辞められない友人。
夫の浮気と借金で離婚騒動に発展した友人。
そこで出した結論は、
「浮気しない、経済力のある優しい男性」
結婚相談所に勧められたのは、20歳近く年の離れた経営者。
実際に会ってみると、数々の修羅場をくぐり抜けてきたような貫禄があり、実年齢よりも上に見えるほど。
億単位の事業を回しているという彼の話に、E美はただ圧倒された。
零細企業の社員として働くE美にとって、その男性はまさに雲の上の存在。
デートでは、高級料亭や寿司店など、TVでしか知らなかった世界へ連れて出してくれた。
「社長夫人」
「玉の輿」
友人たちの夫との格の違いに、E美は次第にのぼせていきました。

予想外の反応
あっという間に決まった結婚。
すっかり両親も喜んでくれるかと思いきや、年齢差や人柄に違和感を覚えた様子。
両親の挨拶に訪れた彼を見て、違和感が確信に変わったような神妙な表情。
「彼は大丈夫なの?」
一体何をそんなに心配しているのか
その頃のE美には検討もつかなかった。
しかし、ここで反対すれば次はないかもしれない。
両親は、そんな複雑な思いで、娘を送り出しました。
結婚式当日。
「こんな一流ホテルで式を挙げられるなんてすごい!」
「社長夫人になっても仲良くしてね!」
羨望の眼差しを向けていた友人たち。
しかし、新郎を見た瞬間、どこか空気が変わる。
思ったよりも、控えめな反応。
期待はずれだったのかな?
でも私は外見でこの人を選んだわけじゃない。
こんな豪華な式場で、私以外誰も式を挙げられなかったじゃない。
E美は満面の笑みを友人たちに向けた。

